普及啓発の取り組み
伊藝元*1・山本広美*1・木野沙央里*1
亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発の一環として、一般市民を対象とした「一般向け講演会・講習会」を開催した。また、ダイビング業者やエコツーリズム業者、調査研究者等に対象を絞り、専門的な内容で実施する「専門家向け講習会・講演会」を開催した。平成30年度の実施件数は一般向け講演会・講習会10件、専門家向け講習会・講演会3件であった。
概要:沖縄美ら島財団総合研究センターの職員が日頃取り組んでいる文化財保全や復元、また動植物に関する調査研究の成果を題材とした講演を行った。
ア)琉球仏教の対外交流-14~17世紀の禅宗の活動を中心に-
講師: 妹尾尚美(琉球文化財研究室)
実施日:平成30年10月13日
場 所:美ら島自然学校
イ)水族館で飼育する大型板鰓類の繁殖学的研究
講師:野津 了(動物研究室)
実施日:平成30年11月17日
場 所:美ら島自然学校
ウ)菌根菌と有機肥料で持続可能な植物工場を
講師:松原智子(植物研究室)
実施日:平成30年2月9日
場 所:美ら島自然学校
概要:沖縄美ら島財団総合センターの職員による 沖縄の希少な動植物の保全、文化財保全・復元など、社会的ニーズを踏まえた様々な研究成果について発表した。
実施日:平成30年10月21日
場 所:沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)博物館講座室
発表者:前田好美(普及開発課)
タイトル:「子供たちへ繋ぐ身近な自然の面白さ」
発表者:宮城奈々(琉球文化財研究室)
タイトル:「琉球産の上布と中国産の桐板(とぅんびゃん)」
発表者:赤井賢成(植物研究室)
タイトル:身近な人里の植物~田んぼの雑草が消えていく~
発表者:小林 希実(動物研究室)
タイトル:「20年以上に亘るザトウクジラの生態調査」
講師:西平 守孝(財団参与)
実施日:平成30年10月13日、10月20日、11月4日
実施場所:沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)博物館実習室
沖縄の伝統的な玩具のうち、ヤカジと張り子の2種を取り上げた。全3回の連続講座で2種類の玩具について作製の全工程を行い、完成した玩具の品評会を行った。どの参加者も積極的に参加する様子が見られ、時間の許す限り作品数を増やし、互いの玩具作りについての情報交換を行うなど活発な創作活動が行われていた(写真-2)。
実施日:平成30年12月6日
実施場所:沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)博物館講座室
共催:名桜大学総合研究所
後援:沖縄県、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会、日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会
下記5題の講演を行った(写真-3)。
①海ゴミ最前線~沖縄の漂着ゴミの実態とサンゴ礁への影響~
鹿谷麻夕(しかたに自然案内)
②南の島のミスワリン~サンゴと人を結ぶ架け橋をめざして~
木寺 莉菜(南の島のミスワリン三代目)
③沖縄美ら島財団におけるサンゴ類保全活動
野中 正法(沖縄美ら島財団総合研究センター)
④沖縄のサンゴ礁の現状と海外での保全策紹介
中村 崇(琉球大学理学部海洋自然科学科准教授)
⑤サンゴ礁保全の未来とは~科学データをどう活用するか~
大久保奈弥(東京経済大学 准教授)
講師:西平 守孝(財団参与)、野中 正法(総合研究センター統括)、永田俊輔(OSC株式会社)
実施日:平成31年3月21日-24日
有藻性サンゴ類の属レベルの分類と同定技術を習得することを目的に、日本に分布する約80属の骨格標本およそ800点とテキスト、スライドを用いて、各属の骨格の特徴や同定する際の着目点について学習した。近年、イシサンゴ類の分類体系が大幅に変更されたため、従来の体系と対比させながら解説を行った。同定スキル確認のために同定スキル習得度確認テストを開催2日目と最終日の計2回行った(写真-4)。
専門的な内容の講習・講演を主として実施し、ある程度の実績と評価を得ている。シンポジウムなどの参加者は多いが、教室における人数がやや少なく、専門的テーマに応じて参加者からのニーズを把握し工夫する必要がある(池田顧問:琉球大学 名誉教授)。
*普及開発課
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