海洋文化の調査研究
板井英伸*1
本事業では、地域と連携して南西諸島の海にまつわる民俗に関する基盤的な調査研究を行うことを目的に、1)船漕ぎ儀礼の現況・変容、2)海を中心とした自然利用の民俗誌 という2テーマについて、主に沖縄本島北部6地点において文献・現地調査を行った。
本部町2地点、国頭村2地点、旧久志村域2地点において調査を実施した。調査地の所在については図-1に示した通りである。
なお、国頭村ではウンジャミの船漕ぎ模倣儀礼、旧久志村域ではアブシバレーのハーリーと船流し儀礼、本部町ではユッカヌヒーのハーリーをとりあげた(写真-1,2,3,4)。現地調査では当日に儀礼中の写真・動画を撮影したほか、現地公民館等と調整して地元有識者の紹介を受け、当日もしくは後日、儀礼の現況と変化についての聞き取り調査を行った。
その成果は「海洋文化館の利用促進にかかる事業」で実施した「海洋文化講座」に活用したほか、今後、展示用パネルに活用予定である。
名護市嘉陽、安部両集落では、民俗や自然利用の態様について聞き取りや写真・動画撮影を行ったほか、嘉陽区の聖火台については、1964年の東京オリンピック当時、実際に設計に携わった人物から聞き取り調査を実施した(写真-5,6)。
この調査の成果は、写真・動画を調査ごとに地元公民館に提供した。また、船漕ぎ儀礼の調査と同じように、「海洋文化館の利用促進にかかる事業」で実施した「海洋文化講座」にも活用した。
図-1 調査地(白抜き記号は前年度に調査済みの地点)
写真-1 船漕ぎの模倣儀礼(国頭村与那のウンジャミ)
写真-2 船流し儀礼(名護市安部のアブシバレー)
写真-3 船漕ぎ儀礼(名護市嘉陽のアブシバレー)
写真-4 船漕ぎ儀礼(本部海洋まつり)
写真-5 嘉陽区・綱引き
写真-6 安部区・豊年祭
*1普及開発課
Copyright (c) 2015 Okinawa Churashima Foundation. All right reserved.