普及啓発の取り組み
板井英伸*1
本事業では、海洋文化館の展示・収蔵資料品における素材の特性等に合わせた取扱い・点検・管理方法を確立するため、前年度に引き続き専門業者(元興寺文化財研究所)に依頼して館内・収蔵庫内の環境調査と資料の状態調査を行い、環境調査報告書、状態調査報告書、資料取扱い管理マニュアルの提出を受けた。
また、上記作業と並行して既存の資料データベースの点検を行い、その校訂に着手した。
平成28年6月~10月にかけて、トラップによる生物生息調査とデータロガーによる温湿度調査を実施し、その結果を分析して報告書を作成し、問題と対策案の提示を受けた(図-1,2)。
図-1 トラップによる害虫調査
図-2 データロガーによる温湿度調査
図-3 展示資料の状態調査(館内)
図-4 収蔵資料の状態調査(収蔵庫内)
なお、両調査で明らかになった問題点を略述すると、以下のようになる。
また、これらの問題点への対策を挙げるとすれば、それぞれ以下のようになる。
くわえて上記2項目の結果をふまえ、海洋文化館の特徴に沿った資料管理マニュアルを作成し、提案を受けた(図-5,6)。
図-5 報告書2冊・取扱いマニュアル1冊
図-6 取扱いマニュアル(部分)
図-7 点検用ファイル
海洋文化館の展示リニューアル作業やその前後の資料の移動などにより、既存の資料データベースに記録されていた収蔵・展示資料の所在情報が更新されておらず、多くの資料に齟齬が存在した。
また、展示室のキャプションや館内資料検索システムにも、データベースの齟齬に起因すると思われるミスがいくつか存在した。
既存の資料データベースはリニューアル工事に際して作成されたものであり、その後、複数の機関・関係者が利用することで、データの整合性が取れなくなったものと思われる。
そのため、資料の状態調査と並行して同データベースの点検を行い、校訂作業に着手できる状態にまで修正を進めた(図-7)。
*1普及開発課
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