普及啓発の取り組み
篠原礼乃*1・永田俊輔*1
亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発の一環として、前述の親子向け自然教室や工作室と内容や対象を区別し、一般市民を対象とした「一般向け講演会・講習会」を開催した。さらに専門的な内容でダイビング業者やエコツーリズム業者、調査研究者等、対象者を絞った内容で「専門家向け講習会・講演会」を開催した。平成26年度は、一般向け講演会・講習会を13件、専門家向け講習会・講演会を5件開催した。以下に実施結果を報告する。
講師
嵩原 建二(沖縄県立桜野特別支援学校)
実施日
平成26年5月10日
実施場所
沖縄県立名護青少年の家
国指定の天然記念物である「リュウキュウキンバト」、「カラスバト」、「アカヒゲ」について、調査・研究に携わった嵩原 建二氏を講師に招聘し講演を行った。
講師
城間 恒宏(沖縄県教育庁文化財課)
実施日
平成26年6月21日
実施場所
沖縄県立名護青少年の家
国指定の天然記念物である「ケラマジカ」について、調査・研究に携わった城間 恒宏氏を講師に招聘し講演を行った。
講師
当山 昌直(沖縄国際大学 南島文化研究所)
実施日
平成26年7月12日
実施場所
沖縄県立名護青少年の家
国指定の天然記念物である「キシノウエトカゲ」、県指定の天然記念物である「サワヘビ」、「トカゲモドキ」について、調査・研究、携わっている当山 昌直氏を講師に招聘し講演を行った。
講師
佐藤 圭一(研究第一課)
実施日
平成26年8月17日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室
深海ザメの種類や形態・生態的特徴などについて、サメ類の標本の観察や解剖を交えながら講演が行われた。最近のサメ類の調査研究の成果を踏まえた内容で解説を行った。
講師
後藤 明(南山大学人文学部)
実施日
平成26年10月25日〜26日
実施場所
海洋文化館展示ホール
海洋文化館の歴史や失われつつあったカヌー制作技術の復興、展示品の収集にまつわる逸話、展示物がどのような検証を重ねたものかなどについて紹介した。
講師
西平 守孝(財団参与)
実施日
平成26年10月25日、11月15日、11月29日、12月7日、12月14日
実施場所
首里城公園管理センター 会議室
沖縄の伝統的な玩具である“琉球張り子”の特徴や歴史等を学び、実際に作製した。全5回の連続講座で、土型から絵付けまでの全工程を行った。
講師
中村 將(財団参与)
実施日
平成26年11月22日(土)
実施場所
総合研究センター 視聴覚室
魚類の性決定の仕組みについて、最近の調査研究の成果を踏まえた内容で講演が行われた。講演では、ティラピア生体の解剖や観察、顕微鏡を用いた生殖器官の観察等も行われた。
講師
前田 好美(普及開発課)
実施日
平成26年12月6日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室
ウミガメの形態や生態に関する解説、写真を用いた個体識別や生体観察、ウミガメを取り巻く環境問題に関する解説を行った。対象は子どもから大人までとし、後述する「ウミガメに関する講演会②」の初級編として実施した。
発表者
助成研究者
実施日
平成27年2月21日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室
助成研究者を招聘し研究発表を行うことで、研究手法・成果の共有、情報交換、今後の調査研究・普及啓発事業の効果的・効率的実施にむけ、技術向上を図った。
講師
河津 勲(研究第一課)
実施日
平成27年2月28日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室
財団の調査・研究で得られた成果を交えて、ウミガメの繁殖生態、繁殖サイクルを解説し、総合研究センターが行う調査研究「人工授精技術」の紹介を行った。ウミガメの調査研究関係者を対象とし、「ウミガメに関する講演会①」よりも専門性の高い内容で実施した。
講師
西平 守孝(財団参与)
実施日
平成27年3月1日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室
サンゴ礁の生物多様性を支える“棲み込み連鎖”とは何か、どのようにして成り立っているのかを解説するとともに、人々の生活と自然環境との関わりをテーマに講演が行われた。
講師
財団職員
実施日
平成26年8月16日、11月9日、12月7日、3月22日
実施場所
総合研究センター視聴覚室ほか
沖縄に適した緑化植物や花の街づくりの知識に精通した人材育成を目的として、「花の街づくりについて学ぼう」、「植物材料について」等年間4回の研修会を実施し、今年度は7名を認定し認定者は累計120名となった。
講師
魚類研究者
実施日
平成26年6月14日
実施場所
沖縄県立名護青少年の家
研究者・水族館職員が互いに情報を共有し,材料と技術の相互補完を行うことによって,新たな研究課題へのアプローチを模索するための研究会を開催した。
講師
宮原 弘和(水族館事業部)、岡部 晴菜(研究第一課)
実施日
平成26年12月8日
実施場所
沖縄県トラック協会
当財団の鯨類の野外調査や飼育を通して得られた情報を県内のホエールウォッチング事業者に紹介し、ホエールウォッチングにおける内容の質向上に役立てていただくために、講演会とパネルディスカッションを開催した。
実施日
平成26年12月4日
実施場所
総合研究センター 視聴覚室および会議室
共催
名桜大学総合研究所
後援
沖縄県、沖縄県サンゴ礁保全推進協議会、日本サンゴ礁学会サンゴ礁保全委員会
下記2題の基調講演と7題の事例報告を行った。
(基調講演)
①鈴木 豪((独)水産総合研究センター)
砂礫泥底に広がる「サンゴの森」の維持・再生に向けて-有性生殖を利用した持続的増殖の試み-
②藤原 秀一(いであ株式会社)
砂礫底におけるサンゴの再生
(事例報告)
①中野 義勝(琉球大学熱帯生物圏研究センター)
サンゴ礁礁池におけるハビタットの多様性と群集の脆弱性について
②山本 広美(研究第一課)
イノーに生育する枝状コモンサンゴ群集の動態
③岩瀬 晃啓(いであ株式会社)
文献にみる海外での砂礫底におけるサンゴ移植
④酒井 一彦(琉球大学熱帯生物圏研究センター)
砂地へのサンゴ移動と移動後のサンゴ-魚類群集:座間味島における実例
⑤山里 祥二(NPO法人コーラル沖縄)
泡瀬海域におけるミドリイシ類サンゴ群集の移植
⑥比嘉 義視(恩納村漁業協同組合)
砂礫底におけるサンゴの養殖と変遷した場所へのサンゴ移植
⑦上原 直(NPO法人グローイングコーラル)
台風による砂礫の移動による移植サンゴの被害と対策
事例報告の発表後には、基調講演及び事例報告の発表者による総合討論を行った。また、展示会場も設け、6団体からのポスター等の展示も行った。
参加者は主に環境調査会社職員及び環境保全活動に携わる方が多く、総合討論では「砂礫泥底の環境下におけるサンゴの移植」について、活発な意見交換が行われた。
発表者
魚類研究者
実施日
平成27年2月28日〜3月1日
実施場所
沖縄県立名護青少年の家
県内魚類研究者の情報共有、相互補完による研究活動の促進・発展を目的として、県内各機関に参加を呼びかけ、学会形式の発表を中心とした交流会を開催した。
講師
西平 守孝(財団参与)、永田 俊輔(普及開発課)、山本 広美(研究第一課)
実施日
平成27年3月19日(木)〜22日(日)
造礁サンゴ類の属レベルの分類と同定技術を習得することを目的に、日本に分布する約80属の骨格標本およそ1300点とテキスト、スライドを用いて、各属の骨格の特徴や同定する際の着目点について学習した。近年、造礁サンゴの分類体系が大幅に変更されたため、従来の体系と対比させながら解説を行った。同定スキル確認のためにサンゴ同定テストを2回行った。
同一の対象生物について、基本的な特徴を学びたい方もいれば、より専門的な内容を学びたい方もいる。このような方々のニーズに応えるため、平成26年度はウミガメに関する講演会を2つのレベル(初級編と上級編)に分けて実施した。実施後のアンケート等ではそれぞれの参加者から好意的な評価をいただいたことから、今後も対象を明確に区分することで、それぞれの参加者のニーズに合った講座内容で実施し、より満足度の高い講座を提供していきたい。
また、当財団職員による講習会・講演会の実施を通して当財団の調査研究成果を広く伝えると同時に、外部招聘講師による講演会等を実施することで、より専門的な知見を得る機会や関連分野の情報提供・交換を行う場を提供するなど、亜熱帯性動植物に関する知識の普及啓発に努めたい。
*1 普及開発課
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