スマートフォンサイトはこちら
  1. 9)南西諸島の海洋民俗に関する調査
沖縄美ら島財団総合研究所

普及啓発の取り組み

9)南西諸島の海洋民俗に関する調査

板井英伸*1

1.はじめに

本事業では、地域と連携しつつ南西諸島の海にまつわる民俗に関する基盤的な調査研究を行い、その成果を沖縄県内外に向けて発信し、かつ地域にも還元する。くわえてそうした資源を利用するための情報の集積所として、当財団を核とする研究者・市民のネットワークの構築を目指したい。
かかる目的のため、1)船漕ぎ儀礼の現況・変容にについて、2)海を中心とした自然利用の民俗誌について、それぞれ文献・現地調査を行った。
その調査場所は、沖縄本島北部とその周辺島嶼18地点(船漕ぎ儀礼)、本部町ならびに旧久志村域4地点(自然利用の民俗誌)である。

2. 船漕ぎ儀礼調査

18地点47事例について調査を実施した(図-1)。
現地調査では当日に儀礼中の写真・動画を撮影したが、事前に現地公民館等との調整を行い、調査に関する許可を得るとともに、紹介を受けて地元有識者から船漕ぎ儀礼の現況と変化についての聞き取りを行った。場所によっては話者の都合により、聞き取りが後日になったところもあった(図-2,3)。
その成果については、在沖の民俗学、文化人類学系の学会・研究会において、口頭発表を準備中であり、財団が管理する施設や外部でしようする展示用ポスターを準備中である。

  • 図-1 船漕ぎ儀礼の調査地点

    図-1 船漕ぎ儀礼の調査地点

  • 図-2 聞き取り調査(金武漁協)

    図-2 聞き取り調査(金武漁協)

  • 図-3 当日の船漕ぎ儀礼(もとぶ海洋まつり)

    図-3 当日の船漕ぎ儀礼(もとぶ海洋まつり)

3. 自然利用の民俗誌調査

名護市嘉陽区、安部区両集落では、住民が一堂に会する機会として重要な年間の民俗行事に合わせて現地を訪問し、集落の空間構成、社会構造の現状と変化、信仰体系の変遷、山林や水流、海岸、礁湖などにおける自然利用の態様について、聞き取りと写真・動画撮影等を行った(図-4,5)。
この調査の成果は、写真・動画を調査ごとに地元公民館に提供した。また、美ら島自然学校で実施したクイズやミニ講座の内容に反映され、それぞれ地元への還元を図った。
加えて本部町では、町役場ならびに財団の植物研究室と共同で、ヤマクニブーの利用に関する植物学的、民俗学的調査を行った。本件のために、同町伊豆味地区での種入り泥団子ワークショップに参加し、生産者への聞き取り調査を行った(図-6,7)。この調査の成果は、平成29年度の6~7月に本部町役場との共催という形で、町内のイベントの機会に発表される予定である。

  • 図-4 安部区「ルクグヮチ」

    図-4 安部区「ルクグヮチ」

  • 図-5 嘉陽区「ジュウグヤ」

    図-5 嘉陽区「ジュウグヤ」

  • 図-6 伊豆味区・ワークショップ

    図-6 伊豆味区・ワークショップ

  • 図-7 伊豆味区・聞き取り調査

    図-7 伊豆味区・聞き取り調査

 

*1普及開発課

ページTOPへ