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  1. 7)沖縄こども環境調査隊2016
沖縄美ら島財団総合研究所

普及啓発の取り組み

7)沖縄こども環境調査隊2016

鈴木瑞穂*1・真壁正江*1

1.はじめに

沖縄こども環境調査隊は、沖縄の将来を担う子どもたちが環境問題の現場を訪ね、実際に見て、聞いて、感じ学んだことを、新聞を中心としたマスメディアでの紹介やシンポジウム開催等により、情報を発信する学習ツアーである。調査隊員に選ばれた子どもたちが視察を行う過程で、「環境について自ら考え、行動する力を向上させる」ことを目的としている。沖縄タイムス社が主催し、当財団は共催として事業を行っており、今年度で8回目の実施となった。

2.事業内容

1)募集および応募状況

平成28年4月28日(木)から6月9日(木)にかけて「私の環境問題」と題した作文による小学5年生~中学3年生を対象に募集を行った(当初予定では5月31日を締切としていたが延長)。総応募者数は74名で、作文審査により29名を選考し、面接審査を行った。面接審査は6月19日(日)に実施し、最終的に小学生3名、中学生7名の計10名を調査隊隊員として選抜した。

2)認証式、事前学習

  • 認証式
    7月2日(土)に認証式を行い、隊員が初めて顔を合わせた。認証式では沖縄タイムス社の屋宜局長および当財団普及開発課長の篠原礼乃より、激励の言葉が贈られた。また、前年度のシンポジウム映像を視聴し、今後の活動内容について意識を高めた。認証式後にはオリエンテーションを行い、昨年度の活動内容を紹介した。また、昨年同様に隊員OB・OGによる現地視察時の紹介や相談会を開催し、体験談や調査時のアドバイス等を新隊員へ伝えた。
  • 隊員研修
    7月10日(月)、総合研究センター視聴覚室にて当財団の前田好美よる、ウミガメの形態や生態に関する講義を受けた。その後、海洋博公園内で行われたウミガメ放流会の様子を見学した。午後は当財団の佐藤圭一より「沖縄の海と環境のはなし」と題した講義を受けた後、沖縄美ら海水族館の見学を行い、沖縄県の海の生き物について学んだ。
  • 夏休み親子学習会
    7月23日(土)、「夏休み親子学習会」を美ら島自然学校(名護市)において開催した。隊員及びその家族20名と一般募集により参加した親子24名の計44名が、約4時間のプログラムに参加した。午前は「沖縄の自然」と題し、当財団職員の真壁正江が講師を務め、沖縄本島で見られる動植物について解説を行った。午後は当財団職員の永田俊輔がイノーの生き物について講義を行い、その後備瀬崎にてイノー観察を行った。
    「夏休み親子学習会」終了後、隊員10名を対象として、視察先におけるまとめ学習の説明を行った。

3)屋久島視察

7月26日(火)から7月30日(土)の日程で、屋久島(鹿児島県)の現地視察を行った。屋久島環境文化村センター等の協力を得て、屋久島の環境の特徴や生物との繋がり、保全活動について調査した。視察日程は表-1の通り。
現地調査には、当財団から鈴木瑞穂(普及開発課)が同行し、隊員の健康及び安全面の管理、視察中の学習補助などを行った。

表-1 屋久島視察日程

日付 内容
7/26(火) 那覇空港集合
出発式
屋久島着
屋久島環境文化村センター見学
・屋久島の年間降水量について
・島内の世界遺産地域区分について 等
夜間ミーティング
7/27(水) 一湊海水浴場でシュノーケリング
一湊小学校生徒との交流
サバ節工場見学
トンボレ(岩風呂)体験
NPO法人屋久島うみがめ館での講義
ウミガメの標識放流体験
ウミガメの産卵観察
7/28(木) 春田浜タイドプール観察、生物採集
白谷雲水峡トレッキング
夜間ミーティング
7/29(金) 屋久杉自然館見学
環境省屋久島世界自然遺産センター見学
ヤクスギランド 自然散策
夜間ミーティング
7/30(土) 屋久島視察まとめミーティング
那覇空港着
解散式
 
  • 図-1 屋久島環境文化村センター見学

    図-1 屋久島環境文化村センター見学

  • 図-2 ウミガメの標識放流体験の様子

    図-2 ウミガメの標識放流体験の様子

4)企業視察

本事業に賛同、ご協賛をいただいた企業における環境への取組みについて学ぶため、8月16日(火)、8月20日(土)、8月22日(月)の日程で、企業視察を行った。視察先は沖縄海邦銀行本店(那覇市)、環境ソリューション(沖縄市)、沖縄コカ・コーラボトリング(浦添本社工場)で、それぞれの企業での取組みについての解説を受けたり、実際に環境保護活動へ参加するなどした。

5)シンポジウム

図-3 シンポジウムで環境宣言を行う
図-3 シンポジウムで環境宣言を行う

平成29年9月3日(土)、タイムスホール(那覇市)において沖縄こども環境調査隊2016シンポジウム 「地球の声を伝えよう~海の生き物と環境保全~」が開催された(図-3)。シンポジウムでは事前学習をはじめ現地視察、企業訪問などを通して、調査隊員が経験し、学び感じ取ったことをまとめての報告を行った。当日の来場者数は、隊員の家族や関係者を含めて約150名であった。
始めに基調講演として、書籍「屋久島の海」の著者である屋比久壮実氏の講演「屋久島の海~豊かな森からの贈り物~」が行われた。併せて、隊員OB・OGによるOBOGパネルディスカッションが行われ、過去隊員の現況や進路について話を聞いた。その後、環境調査隊員による報告が行われ、今回の活動を通して得た経験を言葉にして発信した。
シンポジウム終了後には、過去の調査隊員や協賛企業関係者も参加する懇親会を開催し、意見交換等を行った。

3.まとめ

開催8回目となった今年度は、昨年度と同様、視察内容をより掘り下げたものにすることを目的にテーマを設定して実施した。今年度は「海の生き物と環境保全」をテーマに、沖縄と屋久島の環境の違いや、海と山との繋がり、世界自然遺産である屋久島が抱える問題等について視察を行った。隊員たちは自然と人間が共存するためには、皆で一緒に環境について考えていくことが大切であると話した。
また、今年度初の取り組みとなるOBOGパネルディスカッションでは、調査隊参加後にどのように自身が変わったのか、こども環境調査隊の経験が進路決定に影響を与えたのか等の話が聞かれ、人材育成事業としての成果が伺えた。

 

*1普及開発課

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