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  1. 琉球文化財研究室
沖縄美ら島財団総合研究センター[美ら島研究センター]

琉球文化の調査研究

琉球文化財研究室

上江洲安亨*1

1. はじめに

琉球文化財研究室は、首里城に関する資料収集、調査研究、技術開発及び普及啓発を行うとともに、首里城公園管理部が維持管理を行う首里城公園の利用促進につながる活動を推進する。また、琉球・沖縄地域の海洋文化に関する調査研究活動を行った。平成30年度は第III期中期事業計画の最終年の4年目として調査研究事業では漆塗装関連調査で、煮貝や摺貝を使った1枚の琉球螺鈿の手板を製作した。また清代中琉関係档案選編等の刊行助成を行った。他にも財団所蔵資料の書跡修繕を実施し材質分析、首里城基金を活用した収蔵品収集調査の実施、地域の海洋文化に関する事例調査を行った。外部から受託事業として沖縄県立博物館・美術館発注の琉球王国文化遺産集積・再興事業、伊是名村の銘苅家・名嘉家旧蔵品修復復元業務を引き続き受注した。また新たに、沖縄県から「沖縄県食文化保存・普及・継承事業」を受注した。首里城公園の維持管理業務のサポートとして企画展等の広報・発信業務に関する応援等を行った。普及啓発事業として首里城講座を実施した。地域貢献として大学への講師派遣を行い、首里城の歴史文化を普及啓発した。他にも県の事業へ委員を派遣し、染織分野での産業振興等について意見を述べた。このような様々な活動に関する記録・紹介を行うため年報を刊行した。国宝尚家文書等複製本製作では、那覇市歴史博物館が所蔵する家譜のデジタル化を行った。

2.実施体制

図-1 琉球文化財研究室体制図
図-1 琉球文化財研究室体制図

琉球文化財研究室の体制は契約職員4名、フルタイム専門員3名であった。10月に県博受託業務および伊是名村受託業務のため、契約職員1名を採用し、体制を強化した。

3.実施内容

1)漆塗装検討業務

加工方法の異なる貝の輝き方の違いを分かりやすくするため、煮貝や摺貝で貝を加工し、1枚の螺鈿手板製作を行った。

2)琉球食文化に関する調査研究

琉球料理 「美榮」の料理について記録を保存し、おもてなし料理として出てくる「五段の御取持」についてヒアリング調査を行った。また、王国時代の食文化に関する先行研究等を収集した他、尚家文書や琉球の役人の記録、鹿児島(薩摩)側にのこる史料から料理に関する記述を収集・抽出し、一部翻刻作業を行った。

2)琉球食文化に関する調査研究

琉球料理 「美榮」の料理について記録を保存し、おもてなし料理として出てくる「五段の御取持」についてヒアリング調査を行った。また、王国時代の食文化に関する先行研究等を収集した他、尚家文書や琉球の役人の記録、鹿児島(薩摩)側にのこる史料から料理に関する記述を収集・抽出し、一部翻刻作業を行った。

3)資料収集・修繕事業

  • 資料収集事業
    首里城基金を活用した琉球文化財収集事業では、有識者を招集した評価委員会を実施し、琉球関係古典籍1件の収集に成功した。
  • 清代中琉関係档案選編刊行助成
    台湾故宮博物院・琉球大学と連携し、台湾故宮に眠る琉球関係档案の史料集刊行事業実施の調整及び助成を行った。
  • 収蔵品修繕事業
    財団所蔵絵画資料のうち、尚家資料に残る中国人絵師、孫億の「花鳥図」の3幅目の修繕を行った。解体修理の結果、過去の修復痕を観察できた。
  • 舟漕儀礼等に関する調査
    琉球王国時代の海洋文化・農耕文化等について深く理解するために先行研究や資料収集、調査を行った。その一つとして各地域の祭祀儀礼の事例調査を行った。舟漕儀礼としてうるま市屋慶名のハーリーの事例調査を行った。

4)受託研究

沖縄県立博物館・美術館が発注の琉球王国文化遺産集積・再興事業に㈱国建と共同企業体を組み受注した。8分野の工芸部門(絵画・木彫・石彫・漆芸・染織・陶芸・金工・三線)で復元製作委託業務を行い、18件が完成した。また伊是名村が発注の銘苅家・名嘉家旧蔵品修復復元業務を受注し、古文書の修復や漆器の修繕と復元、陶器と金工品の復元を行った。これらの受託業務は、これまでの財団の文化財復元研究のノウハウを活かし効率的に業務を実施することができた。これらの受託業務の成果から将来、首里城公園の展示に資する復元製作研究の実施も期待される。また新たに、沖縄県文化振興課発注の「沖縄食文化保存・普及・継承事業」を受注し、検討委員会やワーキングチーム、「琉球料理担い手育成講座」の管理・運営等を共同企業体で行った。食文化の調査研究内容を活用することができ、また新たなネットワークにより、情報の収集等、多くの知識を得て、研究を深める機会としたい。

5)普及啓発事業

  • 首里城講座
    首里城講座を4期14回実施し、409名が受講した。
  • 年報の発行
    調査研究の成果、収蔵品修繕の内容や修繕時にしか行えない理科学調査結果を公開するために年報の発行を行い、県内公立図書館・大学図書館等の公共機関へ配付した。
  • 国宝尚家文書複製本製作事業
    前年度に引き続き、那覇市歴史博物館に所蔵の琉球王国時代の士族の証明であった家譜をスキャニングし、デジタル化(CD-ROM)を行った。デジタル化することにより記事・内容の検索が簡易になり、首里城関係の調査研究のための基礎史料として活用するものである。

6)その他

  • 首里城書院鎖之間展示検討業務
    首里城公園内に復元されている書院・鎖之間の床の間について、空間を復元する検討を行うため、王国時代の資料や先行研究等を収集した。それらを基に調査研究を行い、歴史や古建築等の有識者を招集し検討委員会を開催した。
  • 組踊上演300周年記念事業準備作業
    次年度2019年は、組踊が上演されて300周年にあたる記念の年である。それに因み首里城公園やおきみゅー(沖縄県立博物館・美術館)において当財団は特別展を開催する予定である。そのための準備として、組踊に関する先行研究や資料収集等の作業を行った。

4.外部評価委員会

当室の事業概要報告及び課題管理シート評価を踏まえて、研究顧問より多くの意見をいただいた。

  • 歴史文化系等、首里城のソフト文化を明らかにすることはとても重要である。現在にその技術を生かすため、調査研究に取り組んでいってほしい。
  • 食文化研究について、中国・日本が混ざり合っている文化であり、現在の状況では鹿児島とのつながりの復元がまだであるので、その研究を進めてほしい。
  • 食文化について、古文書からの再現を進めているが、読むだけでなく再現する人材を育成していってほしい。
  • 暮らしの中の食も生活の中に息づく文化として扱ってはどうか。等々。これらの御意見・御指摘を受け、事業を再検討・改善し、次年度へ向け邁進していきたい。

5.今後の課題

図-2 琉球文化財研究室の事業と今後の展開
図-2 琉球文化財研究室の事業と今後の展開

琉球文化財研究室における調査研究事業は、図-2の実線で示した各事業を行っている。事業全体を公園機能の向上、文化環境の保全・継承、首里・沖縄地域の文化・産業振興、財団の発展の4つの方向性から見ると、これまでの首里城公園の運営面から派生した復元研究の実績により、公園機能の向上や文化環境の保全・継承、首里・沖縄地域の文化・産業振興に力を入れた事業内容となっている。
今後とも、首里城及び琉球王国の歴史文化に関する調査研究をさらに深化させながら、地域の自治体や事業や地域振興に貢献する活動を行っていきたい。
平成30年度も県博や伊是名村から復元製作業務を受注した。さらに沖縄県の業務では沖縄の食文化の保存・普及・継承事業を受注した。これまでの当財団の復元製作のノウハウが外部から評価されたことと思われる。これからも首里城公園の維持管理だけでなく、文化・産業振興の発展に大きく寄与できるよう、室員全員で調査研究に励んでいく所存である。
その他、琉球楽器催事検討業務については、御座楽に関する調査研究のための先行研究や資料収集についても力を注ぎ、研究者や実演家の協力を仰ぎながら若手演奏者の育成や継続して実施したい。


*1琉球文化財研究室

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