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ホーム総合研究センター平成25年度 事業年報 > 5)草花等を要いた効果的な展示手法の確立に関する調査(モザイカルチャー)

沖縄美ら島財団総合研究センター[美ら島研究センター]

亜熱帯性植物の調査研究

5)草花等を要いた効果的な展示手法の確立に関する調査(モザイカルチャー)

西銘宜孝*1・木下龍太*1

1.はじめに

草花を用いた立体的な装飾技術であるモザイカルチャーの事例として、カナダのモントリオールで開催されたモザイカルチャー世界博「Mosaicultures Internationals Montreal 2013」へ出展参加し、運営方法、モザイカルチャーの制作工程、使用植物等を調査したので、概要を報告する。

2.モザイカルチャー世界博について

写真-1 出展作品
写真-1 出展作品

モザイカルチャー世界博は、2000年にモントリオールで始まった国際イベントで、出展者独自の文化を反映しながら、テーマに沿ったモザイカルチャー作品を競うコンペティションである。これまでモントリオール(2000、2003)、上海(2006)、浜松(2009)で開催されており、今回はモントリオール植物園にて6月22日から9月29日まで開催、世界各地から20か国以上が参加した。

当財団は「Small Clownfish and Anemone」と題して、共生関係にあるカクレクマノミとイソギンチャクの造形作品を出展し、沖縄の海の美しさと大切さを表現した。

出展作品は、細部にまで手の行きとどいた繊細さと独創性が評価され、国際部門において3位に相当する「Gold Medal 3D」を受賞した。

3.モザイカルチャーの制作工程

小型の出展作品は、バックヤードで作品を完成させた後、フォークで園内へ搬入し展示する。また大型の作品は直接展示場所で制作する方法と、駆体を分割してバックヤードで制作し、園内で組み立てる方法がある。

多くの国の作品は、過去の大会で使用した作品を使用しており、駆体を自国より持ち込み、現地で植え込み完成させる方法である。また制作すべてを主催者側に依頼する方法と、作業員を自国より派遣する方法がある。当財団は、完成のデザインを主催者に提供し、駆体の制作と使用する株の生産を主催者に委託し、現地での設置と周辺部の植栽を自前で実施した。製作工程は以下のとおり。

<製作の工程>

  • ①フォークリフト等で運べる鉄鋼の基礎
    ①フォークリフト等で運べる鉄鋼の基礎
  • ②,①に鉄筋で駆体を象りネットで覆い培養土を封入
    ②,①に鉄筋で駆体を象りネットで覆い培養土を封入
  • ③植物を植え込み、会場へ移動
    ③植物を植え込み、会場へ移動
  • ④大型作品は、分割した駆体を会場で合体、あるいは、直接植込み
    ④大型作品は、分割した駆体を会場で合体、あるいは、直接植込み
  • ②,①に鉄筋で駆体を象りネットで覆い培養土を封入
    ⑤植物を植え込み後、潅水チューブを設置し完成
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4.モザイカルチャーの使用植物

写真-4 冬場はハウス内で育成。潅水、暖房、電照、送風の設備を備える。
写真-4 冬場はハウス内で育成。潅水、暖房、電照、送風の設備を備える。

写真-5 育苗株の状況
写真-5 育苗株の状況

使用植物は、主催者側で生産されている。モントリオールの場合、冬期は温室内で育成され、夏期は露地又は、ビニールまたは、ラスハウスで育成される。育苗には105穴(7×15)のトレイを使用、挿木または播種による方法が多い。

植物種は、モザイカルチャーの駆体には園芸品種を含め約84種、露地植えで42種が使用されている。最も多いのが、沖縄と同様アルターナンセラ属で33種である。本種は葉色が豊富で、挿木が容易、剪定で良く分枝する等のモザイカルチャーに最も適した性質を有する。またセダム、エチェベリア等の小型の多肉系の植物も多くみられた。これらは密に駆体を被覆でき、潅水が少なくてすむ等の特徴がある。その他、葉色が豊富なイレシネ、ヘミグラフィス等が主に利用されている。花物ではインパチエンス、ベゴニア、ランタナ、ポーチュラカ等が使用されていた。露地植えで特徴的なのがイネ科やカヤツリグサ科の植物が使用されていることであった。

5.おわりに

写真-6 主催者展示 60種の世界の絶滅の危機にある野鳥等がモチーフである。 高さ16m、幅は18m
写真-6 主催者展示 60種の世界の絶滅の危機にある野鳥等がモチーフである。高さ16m、幅は18m

一般的に草花による展示は平面的なものが多いなか、立体を特徴とするモザイカルチャーは演出効果が高い。

出展されたモザイカルチャー作品は高さ10mを超すものがあり、迫力を感じるとともに様々な角度から見られる楽しさがあった。亜熱帯性気候下の沖縄は、国内の他地域と違い、周年展示ができるため、モザイカルチャー作品を制作し活用する上で、優位性が高い。

当財団は、日本ではまだ馴染みの薄いモザイカルチャーの技法を10年前から導入し、海洋博公園においてイルカやタコなどの立体造形物を展示している。自由な立体表現が可能なモザイカルチャーの造形物は、子どもから大人まで幅広い層の人々に植物の魅力や美しさを感じてもらうことができる。今回の参加を通じて学んだモザイカルチャー制作に関する知識、他の出展者の作品事例やアイディアなどを、今後の公園管理等に活かしていきたいと考えている。


*1 経営企画課

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