スマートフォンサイトはこちら

ホーム総合研究センター平成29年度 事業年報 > 12)沖縄の有用植物の栽培技術に関する研究および含有する機能性分子の解析II

沖縄美ら島財団総合研究センター[美ら島研究センター]

亜熱帯性植物の調査研究

12)沖縄の有用植物の栽培技術に関する研究および含有する機能性分子の解析II

遠藤達矢*1・高良亮*2・板井英伸*3・篠原礼乃*1

1.はじめに

本事業の対象となる植物は、沖縄県で栽培されているか、もしくは栽培可能と思われる野菜・薬草(ハーブ)・果樹である。人間の生活や健康に役立つことが期待される植物を有用植物と定義し、それらの沖縄での栽培方法と含有する機能性分子の研究を行う。最終的には、特産品の開発などを通じて、沖縄の産業振興に寄与することを目的とする。本項では、平成29年度に調査対象としたモロコシソウについて報告する。
モロコシソウ(Lysimachia sikokiana Miq.)は、サクラソウ科オカトラノオ属に分類される多年生の植物である。関東以南から小笠原諸島、沖縄に分布する日本の固有種で、低地や山地の林野に自生する。沖縄の方言では、モロコシソウはヤマクニブーと呼ばれている。モロコシソウは蒸すと香りを発するため、蒸したモロコシソウは、衣服の香りづけや香料として昔から使われてきたという言い伝えが沖縄にはある。モロコシソウの香り成分に関して研究はなされておらず、モロコシソウの独特の香気成分を明らかにし、利活用の拡大や産業振興に資することが本事業の目的である。

2.実施報告


写真-1 軒下で乾燥中のモロコシソウ

1)蒸す工程の調査

モロコシソウは蒸すことで独特の香りを発するが、その工程は本部町の伊豆味地区に昔から伝わっている。年に一度、梅雨が明けるころに刈り取られ、大鍋で25分程度蒸した後、2日間陰干しして乾燥させ製品化されていた(写真-1)。

2)流通と利用の調査

モロコシソウの沖縄本島内での流通、価格、利用についての情報収集を行うため、平成29年6月28日に、糸満中央市場(糸満市)、農連市場・公設市場(那覇市)、中部農連市場(沖縄市)、いしじゃ自由市場(金武町)、道の駅(東村、名護市大浦、大宜味村)にて、販売者・関係者に聞き取り調査を行った。

3)モロコシソウの香り成分の探索

モロコシソウの香り成分の分析については平成28年度より、 (一社) トロピカルテクノプラスと連携し実施している。ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)を用いた揮発性成分の分析の結果、蒸す前の葉では検出されず、蒸した後の葉からのみ検出されるのは20成分あることがわかった。今後は、この20成分の標準物質を実際に嗅ぎ、蒸した葉の香りと比較することで、独特の香り成分が明らかになると考えている。


写真-2 講演会の周知ポスター

4)普及活動

モロコシソウの普及と研究の成果を発表する目的で平成29年9月2日に本部町産業支援センターにて、モロコシソウ生産者らとともに講演会を行った(写真-2)。熱帯植物試験圃場での予備的な栽培試験の結果と、成分分析に基づいた今後の利活用への展望について発表した。

 


*1植物研究室 *2(一社) トロピカルテクノプラス *3普及開発課

ページTOPへ