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ホーム総合研究センター平成28年度 事業年報 > 11)底面給水コンテナ調査(内容器からのアプローチ)

沖縄美ら島財団総合研究センター[美ら島研究センター]

亜熱帯性植物の調査研究

11)底面給水コンテナ調査(内容器からのアプローチ)

安里 維大*1

1.背景、実施目的

底面給水コンテナの最大の特徴は灌水回数の省力化でコンテナ底面に常に存在する水の存在である。内容器内の土壌の質によっては絶えず毛管水の上昇があり、過湿の弊害を被るという一面もある。植物種・環境状況によって必要な水分量は異なるため、結果が全ての場面に対応できるわけではないが、今回の調査では異なる2種類の敷石の量を変えた内容器にベゴニアを約3か月間(1/25~5/20)(図‐2)、底面給水コンテナで栽培して、土壌の水分状態、SPAD値、植物体の状態の調査を行い最適な敷石の種類と量を見出すことである。

2.実施報告

方法

供試鉢作成:容積1ℓのポット底面部に敷石のゼオライト、レカトンをそれぞれ100ml、200ml、300ml各4鉢作る(図‐1)。国頭マージ混合の培養土で育てた5㎝苗を同じ培養土を補充し敷石込で1ℓになるよう調整し、調査期間中に土が敷石の間に侵入するのを防ぐため土と敷石の間に濾紙を2枚重ねて敷いた。また対照区は敷石無で1ℓ全てを同培養土とする(図‐1)。
3ヶ月間栽培の後にSPAD値、目視、水分量(表面2㎝を)を測定して、最適な敷石の種類と量を判断した(図‐6~図11)。

成長状態の良い3鉢を供試鉢とする。また、使用苗としては挿木を同じ時期に行ったほぼ同じ大きさのものを、使用土壌も同じ時期に作られたものを入手した。調査終了時にSPAD値、目視、土壌水分量を測定し優劣を判断した。

SPADは農水省の土壌作物診断機器実用化事業(Soil and Plant Analyzer Development)においてミノルタ(株)が開発した計測器で、葉に含まれている葉緑素(クロロフィル)量を測定できる装置(写真‐3)で、クロロフィルは400~500nm(青)と600~700nm(赤)にピークがあり、700nm以上の近赤外線以上の波長の光をほとんど吸収しないこのことから600~700nmの赤領域と吸収のない赤外領域の2つの波長の光学濃度の測定を行い、その差ををもとにSPAD値を求めます。
SPAD値は植物の生育と土壌が安定する栽培2か月後に成熟第一葉と第二葉を各15回測定した(図‐1、写真‐3、写真‐4)。


  • 図‐1 供試験鉢作成


  • 図‐2 栽培の様子


  • 図‐3 SUPAD計測器(ミノルタ)


  • 図‐4 SPAD値を測定する成熟葉


  • 図‐5 SPAD値を測定する成熟葉

3.調査結果及び考察

1)SPAD値

BZ(ゼオライト200ml)>AZ(ゼオライト100ml)>ER(レカトン200ml)>CZ(ゼオライト300ml)>FR(レカトン300ml)>DR(レカトン100ml)>CON(対照区)。

2)土壌水分量

DR(レカトン100ml)>CON(対照区)>BZ(ゼオライト200ml)>ER(レカトン200ml)>AZ(ゼオライト100ml)>FR(レカトン300ml)>CZ(ゼオライト300ml)。

3)目視判断(葉張,伸長等)での質

AZ(ゼオライト100ml)>DR(レカトン100ml)>BZ(ゼオライト200ml)>FR(レカトン300ml)>ER(レカトン200ml)>CON(対照区)>CZ(ゼオライト300ml)。

考察

肥料成分も同じ対照区と比べた時、SPAD 目視確認からもポーラス資材を入れた場合に良い結果を出している鉢が存在していることから敷石の存在が植物体の活性に影響していると考えられる。
特にSPAD値でゼオライト200ml、目視観察ではゼオライト100mlの結果が良好だったことから敷石をゼオライトで使用する場合には100ml~200mlの量が適量と考える。
土壌水位分量ではゼオライト100ml、ゼオライト200ml共に対照区に比べて水分量は低い値を示した。

4.今後の課題

今回の調査では手始めに2種類の敷石、1種類の植物で調査を行った。植物の種類により過湿を好むもの、乾燥気味が都合のよいものがあり植物の種類、季節毎の追加調査を行う必要がある。また敷石の種類、量、配置の仕方(底層に限定しない構造)を変えた調査も必要であり、植物の種類毎に根群域の三相分布の調整が可能になるようなデーターを集積していきたいと考えている。 調査期間中の環境条件の把握の一つに温湿度(データローガー)を測定した。スマートカダン内容器内土壌表面と内容器上15㎝の温湿度である。図-12、図13は調査期間中で植物管理上苦労した冬~春期の温湿度の状況である。 その他、関連調査で行った鉢内の深さ別土壌温度の調査で、内容器内の土壌20㎝、10㎝、5㎝下の土中温度を測定した結果、特に暑い時期においては直射日光のあたる土壌表面の温度が一番低く20㎝下>10㎝下>5㎝>表面の順であったことから気化冷却がおこっていると考えられ、夏期の植物栽培上、底面給水コンテナの強みとなる部分である。 今後は敷石の調査と同時に底面給水コンテナ内部・周辺の微気象調査も重要であると考えている。


  • 図‐6 ゼオライト100ml区


  • 図‐7 ゼオライト200ml区


  • 図‐8 ゼオライト300ml区


  • 図‐9 レカトン100ml区


  • 図‐10 レカトン200ml区


  • 図‐11 レカトン300ml区


図‐12 内容器上15㎝の微気象(温・湿度)


図‐13 内容器内土壌表面の温度


参考資料:松本 太. イロハカエデの紅葉に及ぼす低温の影響に関する研究. 日本気象学会雑誌PP65‐75.


*1植物研究室

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