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沖縄美ら島財団総合研究センター[美ら島研究センター]

普及啓発の取り組み

普及開発課事業について

篠原礼乃*1

1.はじめに

普及開発課においては、当財団が実施している亜熱帯性動植物・海洋文化等に関する調査研究の成果や公園管理で培った技術等を活用し、沖縄の自然や文化等に関する知識の普及啓発を実施している。
事業内容は、教室や講習会の実施や、助成事業、人材育成事業、環境保全活動支援事業等を実施している。また、普及啓発事業に加え海洋文化に関する調査研究事業も実施している。平成28年度の事業の概要は以下のとおりである。

2.実施体制

普及開発課の体制は正職員6名(内1名は植物研究室を兼務、1名は育児休業中)であったが、名護市嘉陽小学校の跡地利用事業として運営している「美ら島自然学校」における事業が本格稼働したことにより、契約職を新たに1名採用した。また、海洋文化に関する調査研究を推進するため契約職を1名採用した。このほか業務補助を行う契約職2名が従事している。
7月より美ら島自然学校においてウミガメ飼育施設が稼働したことから、平成29年2月に2名の契約職を採用した。

3.実施内容

1)亜熱帯性動植物、海洋文化に関する知識の普及啓発

亜熱帯性動植物及び海洋文化に関する知識の普及啓発事業としては、親子、一般を対象とした教室、講演・講習会を開催した。主に親子を対象として、海の生物について学ぶ「美ら海自然教室」を4回、植物や陸の生物について学ぶ「美ら島自然教室を6回」、植物素材等自然発生物や廃棄物等を利用した工作を通して沖縄の生き物や自然環境を学ぶ「美ら島・美ら海こども工作室」を10回開催した。また、美ら島自然学校において小学生を対象とした有孔虫やウミガメ、海岸の漂着物等について学ぶ教室を26回開催した。
一般を対象とした事業としては、サンゴ礁自然誌講座や、植物自然誌講座、天然記念物シリーズ講演等10回実施した。
専門家向けとして実施した事業としては、第11回目となる「サンゴシンポジウム」を開催したほか、造礁サンゴの同定スキルを獲得するための「サンゴワークショップ」、ウミガメに関する講演会を実施した。
また、財団設立40周年記念事業として、環境教育指導者研修(プロジェクトワイルド)を3回実施した。

2)学校連携事業

地域の教育委員会、小学校と連携し、学校のカリキュラムとして年間7回程度の学習を行う通年学習プログラムと、学校からの依頼をうけ単元や総合的な学習の時間における1回完結型の学習プログラムを実施した。通年プログラムとしては、名護市の緑風学園においてウミガメを題材としたプログラムを4学年計30回提供したほか、名護小学校等において4校計16回実施した。1回完結型のプログラムについては、10校計13件を単元授業や修学旅行の学習等において実施した。

3)寄附講座

沖縄美ら島財団の事業内容を活かした講義を開設し県内の大学へ提供することで、沖縄県における高等教育を支援することを目的として、名桜大学(名護市)において寄附講座を開講した。財団職員が講師として、大規模公園や水族館等の管理運営など財団の事業や亜熱帯性動植物に関する調査研究、首里城等に関する調査研究について講義を行った。

4)助成事業

総合研究センターにおける調査研究項目である亜熱帯性動植物や沖縄の歴史文化に関する調査研究・技術開発、普及啓発活動に対して助成金による助成を行った。応募総数27件の中から、亜熱帯性動物に関する調査研究2件、亜熱帯性植物に関する調査研究1件、沖縄の歴史文化に関する調査研究に1件、普及啓発活動1件に助成を決定した。

5)人材育成事業

沖縄の将来を担う人材を育成することを目的に、県内の新聞社が主催、実施する事業に対し共催として参画した。
沖縄タイムス社が主催する「沖縄こども環境調査隊」については、小中学生計10人が隊員として選ばれ、事前学習会や現地視察(屋久島)を通して環境問題について学んだ。
琉球新報社が主催する「新報サイエンスクラブ」については過去最多の53件の応募があり、小学生24件、中学生10件の調査研究に対し助成を行うとともに、調査研究を支援するフォローアップを行った。

6)環境保全支援活動事業

沖縄県北部地域並びに離島での海岸清掃や赤土流出対策等の環境保全活動を支援することを目的に、エコクーポン(沖縄美ら海水族館入館引換券)を提供する事業を実施した。
2時間以上のビーチクリーンや、赤土流出防止を目的とした植物の植え付け等の環境保全活動を対象とし、平成28年度は13団体に対し、1,174枚のエコクーポンを発行した。

7)外部団体からの協力依頼対応

総合研究センターの調査研究成果を活用し、知識の普及啓発を図るため、学校や市町村等外部からの依頼により職員を講師として派遣した。平成28年度は、38件の講師派遣を行った。

8)美ら島自然学校の管理運営

名護市嘉陽小学校の跡地利用事業者として平成27年7月より「美ら島自然学校」の管理運営を実施している。平成28年度は各種プログラムの実施をしたほか、ウミガメ飼育施設が7月に完成し、約100個体のウミガメ幼体の飼育を開始した。また、9月には潮風害対策として、潮外防備保安林を植栽したほか、バーベキュー施設が3月に完成した。
平成28年度の施設利用者数は、7,679名であり、各種教室等プログラムの実施だけでなく、地域行事開催時や初日の出観覧の際に施設の開放を行った。

9)海洋文化に関する調査研究・知識の普及啓発

琉球文化財研究室並びに地域と連携し、南西諸島の海にまつわる民俗に関する調査研究を実施した。平成28年度は船漕ぎ儀礼の現況・変容についての調査及び海にまつわる民俗に関する基礎的情報の集積を行った。成果の還元として、調査結果を各地域へ提供した。
また、海洋文化館における誘客促進や普及啓発事業に活用することを目的に、海洋文化館収蔵品に関するデータベースの確認、更新を行った。さらに同収蔵品を良好な状態で管理するため、収蔵資料の環境、資料の状況を調査し、資料の取り扱いや基本的な劣化とその処置を取りまとめたマニュアルを作成した。

4.今後の課題

普及啓発事業のプログラム数は、美ら島自然学校の活用、学校連携事業が本格的に稼働したことから増加している。財団が行う調査研究事業・普及啓発事業に対する認知度が向上するとともに、外部からの依頼も増加傾向にあることから、今後のプログラム数や職員の配置等に工夫が必要になってくると思われる。現在実施しているプログラム終了時には参加者へアンケートを記入していただき、教室等に関する意見や今後の希望等情報収集を行っている。今後はこれらの意見を反映させて利用者及び社会的ニーズに沿った内容のプログラムを考案していくことも必要と思われる。
また、これまで実施してきた各事業のテキストについては、実施時のみの活用となっており、事後にはテキストの活用が行われていないことから、印刷物を作成し、プログラム内容の蓄積、普及啓発事業における活用等を図る必要がある。

  • 図-1 普及開発課(普及啓発系)の事業と今後の展開

    図-1 普及開発課(普及啓発系)の事業と今後の展開

  • 図-2 美ら島自然学校の目的と事業(課題)

    図-2 美ら島自然学校の目的と事業(課題)



*1普及開発課

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